新鮮なおくすりの話~軟膏編~
寒さの合間に、ポカポカと春の日差しを感じられるようになりましたね。
お久しぶりです、看護師の黒澤です。
先日、軟膏についてのご質問を頂きましたので、今日は軟膏について書いてみようと思います。
皆さん、軟膏やクリームなど皮膚に塗るものは手元にありますか?
今は、市販薬も充実していますので、処方薬・市販薬問わなければ、どなたも1種類くらいはお持ちではないかと思います。
ごく身近なお薬である軟膏ですが、実は管理方法や使用方法、期限が重要であることをご存知でしょうか?
お薬も食品と一緒で鮮度が大切ですので、管理方法が適していないと、薬効を得られず、ただの油や水分となってしまう事もあるのです…(ちょっと恐ろしい話ですよね…)
まず管理方法については、温度と光、湿度がポイントとなります。
適切な温度とは・・・
①室温・・・1~30℃(基本的には30℃を超える場合には、室内でも影など室温が比較的低い場所を選ぶ)
②冷所・・・1~15℃(冷蔵庫保管できれば問題ありません)軟膏で言うならば、ユベラクリームは冷所保存となります。
その他『常温』という表現がありますが、常温は15~25℃ですので一般的に人が過ごす環境と考えれば無難です。
次に、光について・・・
太陽光はもちろんですが、電球による光も忘れない事です。
『遮光』という表示がある薬については、特に光による影響を受けやすい為、薬局から遮光袋付きで処方されます。
しかし、多くの薬は光により分解されてしまいますので、光を避けた場所での保管や容器に入れて保管することが大切です。
例えば、透明の容器に入った軟膏 見たことが無いと思いませんか?
軟膏が金属やプラスチックのチューブに入っていたり、蓋つきのプラスチック容器に入っている理由は上記が該当しますね☆
最後に・・・湿度については
変色や吸湿が起こりますので、いずれにおいても湿っぽい場所は避けましょう。
丁寧に保管した薬ですが・・・使用方法も大切です🌼
チューブの軟膏を使用する際には
綿棒に絞る、綿棒がない場合には手洗いをした清潔な手に絞り出し、患部にチューブの先端が触れることが無いようにしましょう。
一見清潔に見える皮膚でも見えない雑菌がついていますので、チューブの先端に付着した菌がいつの間にかチューブで増殖する危険性があります。
またチューブの端には、有効期限が印字されています。(裏には製造番号も記載されていますので、西暦表示になっているか確認しましょう)
清潔に使用していれば、長期間使用できるのがチューブのメリットですが、清潔に使う事は意外と難しいですので、3ヵ月を目安と指導する医師もいらっしゃいます。
容器に入った軟膏(合剤…ゴウザイ、MIX軟膏なんて呼びます)を使用する際には
やはりチューブ同様、清潔に使用することは大前提ですが・・・期限が短いので 短い保存期間を最大にするためにも清潔に使用することをお勧めします。
基本的には保存期間は・・・4週間から8週間と言われています。
分離したり、水分が浮いていたり、変質していたら もちろん破棄ですが・・・
一見見た目に変化が無くとも、薬効が落ちていることもありますので、未使用でも長期保存は避けましょう。
せっかく手に入れたお薬ですから、適切な管理方法で、有効に使用できると良いですね!
そして、『もったいない精神』は軟膏については不要ですので、新鮮さを大切に使用していきましょう